その7 電子レンジは強力な電磁波

健康志向の間で今、最も大きな話題のひとつは、〝電磁波公害〞です。特に、問題視されているのが、スマートフォンやWi-Fi(ワイファイ)などで生じる電磁波で、これが様々な健康障害を引き起こしている、と見ているようです。これらの電磁波は、マイクロ波と呼ばれる周波数帯で、電子レンジもこのマイクロ波を使っています。しかも、Wi-Fiやスマートフォンとは比べものにならないくらい、強力なマイクロ波です。
ですから、電子レンジがこのマイクロ波を外に漏らさないように設計されているかが、大きな関心事です。もし、漏れが防がれていない場合は、電子レンジがオンのときには、近くに寄らないのが無難かもしれません。そして次の心配は、中で強力なマイクロ波を浴びている食品は無事なのか、ということです。
先日、全国放送のキー局のテレビ番組で、電子レンジメーカーの研究者の方が、電子レンジは、火などを使った調理に比べて熱するのが早く、ビタミンCなど熱で破壊する栄養素の消失を減らせるため、電子レンジでの調理はそれ以外の調理方法よりも健康的だ、と訴えていました。はたして、マイクロ波による近代的な調理方法は、この研究者の言うように健康的でしょうか。
電子レンジの調理が早いのは、火を使った調理は食品や水分の周りから熱を加えて、徐々に中心に熱が伝わり、全体を温めるのに対し、電子レンジは強力なマイクロ波が、食品のほぼ全体に一気に到達し、強力なエネルギーによって激しい分子運動を引き起こすことによって、短い時間で全体が温まるからです。
強いエネルギーで、強引に分子運動を引き起こすと、食品の中の栄養素はどうなるか。こうした研究はあまりなされていませんが、強いマイクロ波によって、通常はL型と呼ばれるアミノ酸の分子構造が変化し、自然にはあまり存在しない構造になった、という実験報告があります。数少ない実験のようで、信ぴょう性がどこまで高いかは確認できませんが、マイクロ波の影響を示唆するものとして、話題となりました。
この電子レンジ対策として、マイクロ波を使用せず、電子レンジより時間はかかりますが、スチームをうまく使って、電子レンジのように手軽に調理できるオーブンが開発されています。こうして、電子レンジや通信機器から発生するマイクロ波を少しでも回避する工夫が、今後ますます注目されそうです。