その3 がんは甘いものが大好物

がん検診で使われるペット検査(PET)は、がん細胞が糖を大量に吸収する性質を利用しています。前の日から食事をしないで、血液中の糖分が低くなっている状態で、放射性物質をくっつけたブドウ糖を注入すると、がんが、それ以外の細胞に比べてはるかに多くのブドウ糖を吸い込むため、放射性物質が発光すると、がん細胞ばかりがはるかに明るく光ることで、がん腫瘍の存在を突き止める、という仕組みです。
がん細胞が、がんでない細胞に比べて、はるかに多くの糖を吸い込むのは明らかです。ですから、糖を摂取すればするほど、がんの活発な活動を後押しすることになり、逆に糖の摂取を控えれば、がんの活発な活動は弱まって、がん腫瘍の増殖を抑制できるのでは、と考える研究者が少なくありません。さらに、糖摂取の制限を徹底すればそれだけで、がん腫瘍が縮むのでは、と期待する専門家もいます。
糖分の比率が高い食材は、白砂糖など砂糖系、精製した穀類、特に精製した小麦粉です。砂糖、特に精製された白砂糖などの糖分比率が高いのは当然だと思われますが、精製された穀類は、穀類に多く含まれるビタミン、マグネシウムなどのミネラル、食物繊維の多くを削り落として糖分の比率を高めた食べ物です。
穀類に特に多く含まれるのは、ビタミンB群、マグネシウムなど、糖や脂肪を代謝してエネルギーに変えるメタボを支える栄養素です。また、食物繊維は、健康のカギの一つとして最近注目されている腸内細菌の養分となる栄養素です。これらの肝心な栄養素をわざわざ削り落として、過剰が問題になっている糖分の比率を上げてしまうわけですから、栄養のことを勉強するにつれて、穀類などを精製することほど、馬鹿げて見えることはありません。
その精製された穀類の中でも特に糖分比率の高い小麦粉でできた食パン、うどん、パスタ麺などの糖分濃縮度が高いことも見逃せませんが、この精製された小麦に砂糖を加えた菓子パン、ケーキ、クッキーなどのお菓子類は、まさに糖の凝縮物であり、こうしたものを食べるほど、がんを甘やかしている、と主張する栄養学者も多くいます。ですからデザートを食べるなら、白砂糖や精製した小麦粉を使わない、糖を抑えたおいしいおやつを家で作りたいものです。
